妊娠中の尿蛋白は大丈夫!?尿蛋白が出る原因は?


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尿蛋白が出たときの対策!食事や生活面での改善法は?

妊娠中にタンパク尿が出たら2通りの可能性が考えます。
1つは妊婦さんの身体が疲れている時、又は何らかのストレスがある状況でたまたまでるタンパク尿。タンパクの尿に出ている量もわずかであり妊娠の異常とは考えられないもの。

もう1つが「妊娠高血圧症候群」であるまたはその可能性を含んだタンパク尿です。どちらの理由でタンパク尿が出てきているのかは、より詳しい検査を行い、その経過を注意深く見ていかなければ判断できないため、妊婦さんご自身でその理由を特定することはできません。また「妊娠高血圧症候群」は妊娠中の異常(病気)と考えますが、その原因はわかっていませんので、完全に予防することもできません。

しかし、妊娠中の疲労や何らかのストレスと「妊娠高血圧症候群」になりやすい人を見てみると、重なる部分もあります。妊娠中の食事と生活面の見直しでタンパク尿を予防したり改善したりできる可能性もありますので、注意点を見ていきましょう。

食事を見直そう

◆食事量は一人分

「つわり」が一段落すると急に食欲が出てきて過食気味になる方やお腹の赤ちゃんのために二人分食べるという方もいますが、食べ過ぎると妊娠前より体重が急に増加することもあります。過度な体重増加、急な体重増加は妊娠中の身体にもストレスとなり、出産に影響しますので要注意です。スマホで写真を撮る、ノートに記録するなどして毎日の食事内容を客観的にとらえてみましょう。

◆食生活ではバランスが大事

妊娠中の食生活では、ビタミンを摂ること、鉄分不足にならないようにすること、カルシュウムを摂ることなど注意する点が多く、食べないといけないものがたくさんありますが、一番大切なことは食事のバランスです。「良い」と言われている食品を単品で食べるのでなく、主食を中心とし、副菜として胎児の成長に必要な栄養を摂りましょう。特に、タンパク質・ビタミン、妊娠中に不足しがちな鉄分・カルシウムを意識的に補給してバランスのとれた食生活を送りましょう。
また、バナナ・メロン・きゅうりなど野菜や果物はビタミンは勿論、体内からの塩分の排出に利用されるミネラル類のカリウムを多く含みます。また、豆類・キノコ類にもこれらの栄養がたっぷり含まれています。このような食材を意識的に料理に利用すると良いでしょう。

◆料理は素材をいかした薄味に

味付けが濃くなると食事の量が増え、食べ過ぎによる体重増加も心配されます。
また、日本人の塩分摂取量は若干多めと言われていますが、味付けが濃くなると比例して塩分摂取量が増えますので、薄味を心掛けましょう。ただし、極端な塩分制限はかえって悪影響にもなりますので、適度な薄味を心掛けるようにしましょう。

★薄味にするためのポイント★
・旬の食材を使う
・下味を控え目にする
・だしを活用する
・酸味を利用する
・柑橘系・ハーブなどの香辛料を適度に利用
・効果的な焦げ目の利用
・汁ものスープは少なめの量にする
・温かいものを食べる

◆水分摂取は十分に行う

身体が浮腫むからと水分摂取を制限されると、妊娠に悪影響です。喉の渇きを感じたらこまめに水分摂取は行いましょう。妊娠中は基礎代謝も上がり汗もかきやすいです。また、汗や尿からだけでなく、呼吸など目に見えない形で体の水分は失われていきますので、飲料と食事を合わせて1日2L位の水分摂取が良いと言われています。

1回の食事で約300ml位の水分が食物から摂取されていると考えられていますので、食事以外の飲料では1L~1.5L位の摂取が必要だと考えられています。
この量は妊娠前に比べると少し多い量だと言えるでしょう。

妊娠中は、お母さんの血液量が増えるので自然と水分が必要となりますが、その他にも血液をサラサラの状態にしてスムーズに子宮・胎盤に送ること、赤ちゃんに必要な羊水を作ることなどの大切な役割があります。shutterstock_359557958

生活面の改善

◆規則正しい生活習慣

規則正しい生活を送ると、自律神経のリズムが整い、心身へのストレスが軽減します。
特に朝の起きる時間を定時に決めることがポイントです。
妊娠中の寝苦しさで夜間の睡眠時間が不足した時も起き時間は延長せず、定時に起きてお昼寝などで休息をとりましょう。

◆休息と睡眠

効果的な休息として、可能であれば1時間程度のお昼寝をするといいでしょう。眠れなくても身体を横にするだけで、身体の中を流れる血液はスムーズになり腎臓・肝臓・子宮などの内臓への血流が良くなります。ただし、一定時間以上のお昼寝は、夜間の睡眠への影響が懸念されますので夜間の睡眠に影響が出ない程度のお昼寝にとどめましょう。(一定時間には個人差があります。)

◆適度な運動

ウォーキングやマタニティースイミング、マタニティーヨガなどの運動は、全身の血行を促し、心身のストレスを軽減させてくれます。
また、妊娠中の姿勢や体形の変化から来る、筋肉疲労の軽減にも効果的です。

皆さんはきっと「健康に妊娠中を過ごし、元気な赤ちゃんを産みたい。その為に頑張りたい。」思っておられることでしょう。そんな中、尿タンパクが検出されたことで「自分の生活が悪かったのかもしれない」とご自分を責める方も少なからずおられます。それは大きな間違いです。残念ですが、現在「妊娠高血圧症候群」の原因の特定はされていません。

食事を頑張っても、減塩や体重コントロールを行っても「妊娠高血圧症候群」になってしまう場合もあります。
尿タンパクが出た場合は自分を責めたり、自己流の解決策を模索するのでなく、主治医の先生や担当の助産師とよく相談して対処しましょう。減塩やカロリー制限は自分だけの思いから行うのでなく、必ず専門家の方々と話し合いながらされることをおすすめします。

尿蛋白が出る原因は?妊婦さんは出やすくなるの?

妊娠すると必ず定期的に妊婦健康診査(妊婦健診)を受けることになります。皆さんも、4週間ごと又は2週間に1回のペースで健診を受けられておられると思います。妊婦健診の目的は、胎児も母親もできるだけ健やかに妊娠期間を送り、無事に出産がむかえられるように、妊娠の経過を確認することです。

尿検査は、この妊婦健診で必ず行われる検査の1つ。尿検査では尿タンパクや尿糖について、検査をすることになっています。尿タンパクとは尿の中に含まれるタンパク質のことですが妊婦さんの中には検尿で「タンパク尿ですよ。」と指摘を受けられた方、指摘は受けたことないけど「何を調べているのだろう?」と疑問に思われている方もおられるでしょう。

今回は妊婦健診での尿検査について理解を深めていただき、ご自身での健康管理に積極的に取り組んでいただけるよう妊娠中に注意したいタンパク尿についてお話しを進めていきましょう。

まずは、私たちの身体の仕組みの1つである「尿」についてのお話しです。「尿」は血液を原料として腎臓で造られます。血液は腎臓でろ過されて不要となった水分や老廃物が「尿」として排出し、私たちの身体の水分量やミネラル分のバランスを維持しているのです。通常は血液中のタンパク質はそのほとんどがろ過されることはなく、血液中に残ります。ごくわずかにろ過されたタンパク質も腎臓の中で処理されてしまうために尿にタンパクが混じることはほとんどありません。

もし、尿にタンパクが混じって出てしまった場合は、腎臓に何らかの問題があるかもしれないと考えて対処をしていくことが一般的です。
ただし、妊婦さんの場合は、タンパク尿が出る仕組みは妊娠してない方と少し違いがあります。もちろん妊婦さんの場合も尿にタンパクが混じるということについては、注意深く対処していかなければなりません。ただ、妊婦さんは妊娠していない人に比べるといくつかの理由で、尿にタンパクガ混じりやすい状態ではあります。

その理由の1つが、妊娠すると母体(妊婦さん自身の身体)を流れる血液の量が増え、尿の原料の血液が増えたことで腎臓もたくさんの尿を作ることになり、わずかなタンパクが尿に混じってしまうこと。理由の2つ目に、妊娠によるホルモンの影響でタンパクや糖が尿に混じりやすくなるということです。これは妊婦さんが疲れている時や風邪など引いている時、ストレスがある場合におこりやすいようです。

ですから、尿にわずかにタンパク混じることがあっても、直ちに妊娠中の異常と断定することはできませんが、だからと言って「だったら大丈夫。」と安易に判断することも危険です。それは、妊娠中の尿にタンパクが混じってくる疾患として代表的な「妊娠高血圧症候群の兆候」といったことも考えられるからです。そう言った異常の早期発見を目的として尿検査は行われています。shutterstock_354178133

尿蛋白と一緒に調べるケトン体って何?ケトン体も出たときは?

妊婦健診の尿検査では尿タンパク、尿糖にならんで尿中ケトン体という項目も検査します。
尿中ケトン体についてお話しです。

「ケトン体」・・・あまり聞きなれない物質のように思いますが、それほど縁遠いものではあません。
ケトン体の検査は、妊娠初期の「つわりの時期」は尿検査で必ず行われます。
ケトン体とは脂肪が分解されてエネルギーとして利用される途中にできる中間物質のこと。

私たちは食事で摂取した食物中から糖質を吸収し、それをエネルギーとして使いますが妊娠初期の頃は「つわり」の症状で吐き気が強く、食事を食べられない、食べてもおう吐してしまう、このような場合に糖質を吸収することができなくなり、身体はそのエネルギー源の不足から自分自身の脂肪細胞に蓄えられた脂質を肝臓に運び、糖質の代わりとして各臓器でエネルギー源に利用します。

その脂質がエネルギーに変換される過程でできるケトン体の一部が血液中から腎臓を介して、尿中に排出されるということになります。尿中ケトン体が(+)という検査結果は、通常の「つわり」の域を超えた「妊娠悪阻(おそ)」という状態に陥っていていることを示すため、この検査によって治療が必要かどうかの判断がされるのです。そのような場合は、点滴で水分やビタミン他エネルギーとなりうるものを補給する処置がとられることになります。

「つわり」だけでなくダイエットの際の過度な食事制限や運動による過度なエネルギー、他の疾患による下痢やおう吐でも、尿中ケトン体が検出されることがあります。

尿蛋白のプラスマイナスの意味は?

妊婦健診での尿検査の結果は一般的に「−」「±」「+」という表現が用いられます。
尿にタンパクは含まれていなければ「−」。
尿にタンパクが含まれている可能性がある場合は「±」。
尿にタンパクが含まれていると「+」又は「1+」「2+」「3+」「4+」と数値が増えるほど尿タンパクが多く検出されていることを意味しています。

*この結果は母子健康手帳にも必ず記載してありますので、ご自分でも確認しましょう。

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妊娠中の尿蛋白は大丈夫!?尿蛋白だとどんなリスクがある?

上でも説明した通り、妊娠中は若干ですが尿にタンパクや糖が混じってしまいやすい傾向があります。ただし、だからと言って全ての場合が正常と考えるのは危険です。また、「1回だけなら大丈夫?」といった質問もありますが、回数ではなく尿に混じるタンパクの量が重要になってきます。尿検査でタンパクが検出された場合は、その尿タンパクの量や血圧、浮腫みなどの症状もかんがみて、一般的な尿検査より詳細な検査を受けていただくことがあります。この検査は、タンパク尿が出るということは、妊婦さん自身の身体の状態はどうなのかな?と確かめるために行われます。

その他に、尿タンパクの検査では、妊娠高血圧症候群の早期発見がなされます。「妊娠高血圧症候群」というのは
・妊娠する前にはなかったのに妊娠期間が進むにしたがって(妊娠20週以降から産後12週まで)高血圧になってくる
・収縮期血圧(上の血圧140mmhg以上・拡張期血圧(下の血圧)90mmhg以上
・尿タンパク
・浮腫(むくみ)また妊婦さんの体重増加が1週間500g以上

などこれらの症状のいずれか又は2つ以上がある場合につけられる病名です。
この「妊娠高血圧症候群」の原因は残念ながら明らかにはなっていません。
妊婦さんの20人に1人の割合で起こると言われており、重症になると母体の高血圧・タンパク尿だけでなく子(し)癇(かん)といって全身がけいれん発作を起こしたり・脳出血・HELLP(ヘルプ)症候群という肝機能障害に溶血、血小板減少ともなう疾患などを引き起こしたりするリスクが高くなります。

また、常位胎盤早期剥離といって本来なら胎児が生まれた後には子宮からはがれる胎盤が、早い時期にはがれてしまい、胎児機能不全という(胎児に母体からの酸素が届かなくなり胎児の状態が悪くなってしまう)など母親も赤ちゃんも危険にさらされるリスクが考えられています。

この「妊娠高血圧症候群」の原因はわかってはいませんが、なりやすい人はわかってきていますのでご紹介します。

・高血圧、腎臓病、糖尿病をもともとの病気として妊娠された方

・高血圧のご家族がおられる方

・母体年齢35才以上で発症率が高くなり40才以上になるとさらに高くなる
(また、15才以下でも発症率は高くなります)

・初産婦
初めての妊娠の方

・多胎妊娠
胎児2人以上(双子(ふたご)ちゃんなど)の妊娠の方

・肥満の方
BMI25以上の方は発症率が高くなるといわれています。
BMIは次の方法で計算できます
BMI=妊娠前の体重Kg÷身長m÷身長m *体重と身長の単位に気をつけて計算してみましょう。

・妊娠初期の血圧
妊娠していない時、または妊娠初期は高血圧とは診断されてない方で収縮期血圧(上の血圧)130~139mmhg / 拡張期血圧(下の血圧)80~89mmhgの範囲にあるかたは妊娠中期以後に発症率が高くなるといわれています。*妊娠中の正常血圧130/85mmhg未満です。

妊娠高血圧症候群の予防法
予防法として様々なものが試みられていますが、効果的な予防法の確立はされていないのが現状です。

妊婦さんご自身の健康管理として塩分・糖分の摂りすぎに注意し適切な体重管理を行う事、妊婦健診を必ず受けることが大切です。

*浮腫(ふしゅ)(むくみ)があるからといって水分摂取制限をしたり、自己判断で利尿剤を用いたり塩分制限を行うことはかえって悪影響となることが心配されますので、必ず主治医の先生の指導のもと体調管理を行っていきましょう。shutterstock_85934113

尿蛋白が毎回出たら??精密検査も必要なの??

妊婦健診の尿検査で蛋白尿が「±」や「+」の結果となった場合は浮腫みや血圧の状態に異常がなければ、即座に精密検査が必要なケースは少ないと思います。その場合は、主治医や助産師によるカウンセリングがされ、しばらくは生活に注意しながら体調の様子を見ていくことになるでしょう。その上で、続けて2回のタンパク尿が検出されたならば、精密検査を受けていただくことになるでしょう。

その一方、尿検査で蛋白尿が「±」や「+」の結果が初めてであっても、普段使いの靴が履けない程の浮腫みや血圧の上昇などの症状が現れた場合は、精密検査が必要になってくる場合もあります。

また、タンパク尿の結果が「+」~「⧺」、「⧺」以上の結果である場合は、さらに詳しい検査が行われる事になります。これは妊婦健診で行われている尿検査では、尿の中にタンパク質の成分が「+」=ある、「−」=ない、もしくは「±」=疑わしい、というように可能性を探る検査ですので、確実な検査結果を必要とする場合は、精密検査が必要となるのです。

まとめ

妊婦健診での尿検査の主な目的は、妊娠高血圧症候群の早期発見です。

妊娠中は、尿蛋白が出やすい状態ではありますが、それが正常な範囲であるのか、それとも妊娠高血圧症候群の兆候のように心配な状態であるのかの判断には専門的な知識が必要です。「尿蛋白が出たのは1回目だから大丈夫」と安易に考えるのは危険です。

たとえ直ぐに異常と言えるものではないにしても、主治医や担当助産師から指導された内容をもとに日常生活を見直しましょう。また、心配のあまり減塩食や体重のセルフコントロールを厳しくされる方もおられますが、それについても専門家の意見をもとに適切な範囲で行って行きましょう。

また、日常生活に注意を払っていても、蛋白尿が改善されず症状が進行するような場合もあります。妊娠高血圧症候群という疾患の原因は今のところはっきりとはしていません。高血圧症候群になったからといって、必ずしも妊婦さんの日常生活に原因があるというわけではありませんので、誤解のないようにしましょう。セルフコントロールだけではどうにも対処できない場合もあるということもご理解ください。

このようなトラブルが起こった時こそ、遠慮することなく病気に対する疑問も不安な気持ちも、主治医や担当助産師へお話しください。専門家の方々は必ずあなたと一緒に妊娠経過があなたにとっても赤ちゃんにとってもより良い状態で過ごされ、よりよい状態で出産が迎えられるようにサポートしてくださると思います。

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