9 Nov 2016
産後の肥立ちとは?体調不良はいつまで?
産後の肥立ちとは、体を妊娠前の正常な状態に戻そうとする期間のことで、産褥期とも言われます。
この時期は、大きくなった子宮が元に戻ろうとする後陣痛が起こり、出産の後でも陣痛のような痛みが続きます。また、出産によってはがれ落ちた子宮内膜や産道や子宮の傷からの分泌物が出て、悪露と呼ばれる出血が続きます。
体調不良の期間は原因や種類によっても変わってきますが、子宮が元に戻るのは約6〜8週間と言われているので、後陣痛は1ヶ月健診をする頃には痛みがなくなります。また、悪露出血は3〜4週間ぐらいで薄くなってきて、1ヶ月ほどでなくなることが多いです。
骨盤の状態は3〜4週間ぐらいで戻ってくるので、その時期に無理をした生活をして、骨盤がずれたり、子宮の中に血の塊や胎盤の一部が残ってしまったりすると、1ヶ月以上不調が続く人もいます。
個人差はありますが、平均して1ヶ月ほどは、体が不安定な状態になると考えておきましょう。
産後の体調不良の原因は?産後の体にどんな変化が起きているの??
◆ホルモンバランスの変化
産後は、女性ホルモンの分泌が大きく変動するため、体調不良が起こりやすくなります。
出産まではプロラクチンなど様々な女性ホルモンが出ますが、出産を機に母乳を作るホルモン以外は分泌が急激に減ります。そのホルモンの変動によって、イライラしたり、悲しくないのに涙が出たり、動悸、息切れなど様々な症状が出てきます。
◆骨盤のゆがみ
妊娠期からの姿勢や産褥期の無理な体勢による骨盤のゆがみが原因で体に不調が現れる場合もあります。
骨盤の上には、背骨が乗っていて、背骨の上には肩甲骨と肩があるので、骨盤がゆがんでしまうとその上の背骨や肩甲骨もずれてしまうのです。そうすると、血行も悪くなり、体の各部位に痛みやむくみ、疲れなどの症状が現れてしまいます。
特に、赤ちゃんのお世話で猫背になると、骨盤がゆがみやすくなり、背中の筋肉も弱くなって血流が悪くなるので注意しましょう。
◆母乳育児による血液不足
母乳は、お母さんの血液が元となって作られるため、産後3週間以内は、授乳による貧血も多く現れます。また、授乳中の体勢や長時間の抱っこなどが原因で肩こりになることもあります。
◆出産による体力・筋力の低下
出産でいきむことで、体力や筋力が低下することもあります。
ただし、これは1週間ほど安静にすれば、回復する場合がほとんどです。どちらかというと、妊娠期からの運動不足が、産後の体力不足に繋がります。
◆運動不足
産後の体力低下は、妊娠中から産後にかけての運動不足が原因になっていることが多いです。妊娠中や産後は、外出が減り、運動する機会も少なくなるため、筋力が低下し、体力も落ちてしまうのです。
産後動けるようになってきたら、少しずつ体を動かして、体力を取り戻せるよう心がけましょう。
◆生活の変化
赤ちゃんが生まれると生活は一変します。3時間ごとに授乳、おむつ替え、抱っこ、寝かしつけをしなくてはならず、夜の睡眠時間もなかなか確保できません。
質の良い睡眠が取れていないと、ホルモンや自律神経のバランスも乱れやすくなり、疲労感や倦怠感が出たり、抑うつ状態になってしまったりします。
また、最近は夜に赤ちゃんのお世話で起きてしまい、スマートフォンを見ることで、よけいに眠りづらくなるというケースも増えてきているようです。
よくある産後トラブルと対処法は?
◆腹痛
経産婦さんは特に後陣痛がつらいことが多いので、なるべく我慢をしないですぐに助産師さんや看護士さんに相談をして鎮痛剤を出してもらいましょう。
◆乳腺炎
乳腺炎は、母乳の通り道である乳腺が詰まってしこりとなり、炎症を起こしてしまうことです。症状が悪化すると胸の痛みや発熱などが起こります。
乳腺炎の対処法としては、
・血行を良くする
・水分をしっかり摂る
・肩こりがある人は肩まわりのエクササイズをする
・背筋をしっかり伸ばした姿勢を意識する
・おっぱいマッサージ
などがおすすめです。
◆腰痛
腰痛の症状がある方に一番気を付けて欲しいことは、姿勢です。産後は猫背になることが多いので、骨盤を床に対して垂直に立てることを意識してください。
また、抱っこをする際に骨盤が前傾して反り腰になることも腰痛につながるので気をつけましょう。さらに、赤ちゃんと過ごす時の緊張感で筋肉が硬くなってしまっていると腰痛につながるので、筋肉をしっかりほぐすストレッチをしてみてください。
ただし、病的な腰痛、ヘルニア、腰椎狭窄症の場合もあるので、ひどい場合は病院で医師に相談しましょう。
◆貧血
産後は会陰部の傷が痛いので、トイレに行くことが辛く、水分を摂らなかったり、活動量も少ないため、あまり喉が渇かなかったりする場合もありますが、意識してこまめに水分を摂ってください。
また、産褥期の6~8週間は床上安静が基本です。赤ちゃんのお世話や、トイレやシャワー以外はベッドで横になって安静にしましょう。それが血を作り出すことにもつながってきます。産褥期後は、反対にしっかり動くようにすると、血を作る機能が活発に働いてきます。
さらに、食事はバランスの取れた栄養のある物をきちんと摂りましょう。退院してからは、食生活改善の合言葉「まごはやさしい」を基準に、豆、胡麻など栄養素が高い物をバランスよく摂るといいです。自律神経が乱れた時期は、甘いものやカロリーが高い揚げ物、ジャンクフードが食べたくなりますが、できるだけ控えるようにしましょう。
◆憂鬱感
出産後の憂鬱感は、ひどくなると産後うつに変わるかもしれません。
産後うつとまでいかなくても自律神経の乱れによって、幸せなはずなのになんとなく涙が出てきてしまう、イライラする、何もやる気が起きないということが私もありました。
そんな時は、まず骨盤を床に対して垂直に立てて、自律神経の走っている背骨を伸ばすと、自律神経の神経回路をスムーズにすることができます。座る時にも横座りではなくて、あぐらや足を前に出す長座で骨盤をまっすぐにして座わるとよいでしょう。
また、眠たい時にはきちんと寝ることが大事です。しかし、育児中はなかなか思うように睡眠を取れないので、どれだけの人に頼れるかが重要です。親や旦那さん、ママ友、施設など、日ごろから頼れる存在を把握し、前もってコミュニケーションをはかると、いざ預けたい時にも預けやすくなります。
子育てを1人で頑張りすぎないように、安心できる存在にお願いする勇気も、産後に必要な力の一つです。
◆産褥熱
産褥熱とは、子宮や産道の傷からばい菌が入ることで起こる熱性疾患です。また、悪露や胎盤の排出がうまくいっていないことが原因となる場合もあります。
だいたい出産から24時間以降に10日以内、38度以上の熱が2日以上続くと産褥熱と診断されます。
対処法としては、傷が残っている時は、治すために抗生物質を飲む、悪露などが子宮の中に残っていることが原因なら、悪露や胎盤の一部を取り除くような手術が必要になります。不調に気づいたら早めに医師に相談しましょう。
産後の体調管理で気をつけることは??
◆産褥期は安静に
産後6~8週間の産褥期は赤ちゃんのお世話と自分のトイレやシャワー以外はなるべくお布団で仰向けに寝ていてほしいものです。
3〜4週間かけて筋肉や骨、骨盤、血流がじわじわと整ってきて、傷も治っていくので、その時期に重たいものを持ってしまったり、負担のかかる座り方をしていたりするとその後の体調に悪い影響が及んでしまいます。
◆周りの人を頼ろう
産褥期は、なるべく床上安静に・・とはいっても、なかなか寝てばかりはいられなかったり、上のお子さんがいる場合は、遊び相手や幼稚園の送り迎えなど、動かざるを得ないことが多々あります。ですので、いかに周りの人に頼れるかがカギです。慣れない育児生活が始まり、ストレスも溜まりやすい時期ですので、育児だけでなく精神面でもサポートしてもらえるよう、気になることは何でも周りの人や保健師さん、助産師さんなどに相談してみてくださいね!
◆スマホやパソコンは避ける
スマホやパソコンなどを産後に見ることはできるだけ避けるようにしましょう。画面から出ているブルーライトは神経を興奮させて交感神経を優位にしてしまうので、リラックスしづらく、自律神経が乱れやすくなってしまいます。
まとめ
出産後は、赤ちゃんのお世話に追われてしまいがちですが、そんな時ほど自分の心と体をしっかり観察しましょう。目を閉じて呼吸をしてみる、深い呼吸を意識してみる、ゆっくりと体を動かしてみる……。縮んでいる筋肉がある、肩が凝っていると思ったら、首を倒すだけでも筋肉が伸びます。自分の心と体をしっかり観察して、毎日休みなく育児をしているご自身をいたわってあげてくださいね。
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