26 Jul 2016
赤ちゃんを実際に生んでみると予想以上に大変なもの。夜泣きや夜間授乳、そして自分の思い通りに生活はできず、何だか体も心も疲れてしまって…というお母さんも多いのではないでしょうか。
育児本を買って、ネットで検索して、いっぱい知識を得ても育児はマニュアル通りにはいきません。すぐに解決しない困難に出会ったら、まずは自分の体や心の声に耳を傾けてみましょう。また、妊娠中の方は、事前に自分自身の変化を知ることができれば、心構えを持つことができ、これから待ち受けている困難にも対処することができます。
出産後は心や体にどのような変化が出る?
ママが出産を終えるとホルモンバランスが大きく変化し、心が不安定となる「マタニティ・ブルーズ」という状態になることがあります。イライラしたり、涙もろくなったり、不安に襲われたり…しかし、これは出産後3~5日目がピークで多くは治療を行わなくても10日間くらいで自然に症状がなくなります。
この期間に大切なことは「家族の理解・協力」と「休息」です。自分のせいではなく、ホルモンの影響だと割り切って、ご家族に協力してもらいながらゆったりと過ごしましょう。
しかし、症状が長引いたり、再発したりという場合は『産後うつ』という病気のこともありますので、専門医への受診をおすすめします。
また月経の再来によるホルモンバランスの変化により、更年期障害のようなほてりや耳鳴り、頭痛、イライラなどの症状が出ることもあります。このような症状が出た場合もマタニティ・ブルーズと同様にゆったりと過ごしていれば自然に治ることが多いですが、症状が強い、長引くといった場合は専門医に相談しましょう。
さらに産後によく起こる体のトラブルとして…
・痛み(外陰部痛、恥骨痛、腰痛、痔、腱鞘炎など)
・抜け毛、肌荒れ、シミ
・排泄トラブル(便秘、尿漏れ、頻尿など)
などがあります。多くは産後すぐに現れる体のトラブルですが、抜け毛や腱鞘炎など数ヶ月後から発症するものもあります。
また妊娠中から肌に色素沈着を起こしやすく、出産後もすぐに体型が戻るわけでないことから、ボディイメージの変化を受け入れられず、ストレスを強く感じる方もいます。
しかし、産後に過度なメンテナンスをすると、産後の回復が悪くなるだけでなく、体調を崩したりすることもあります。少なくとも1ヶ月は休養・リハビリ期間とし、半年くらいかけて徐々にもとの体に戻していくようなイメージでいましょう。
出産後の体重はいつから戻るの?減り方は?
出産直後に体重を測ると、減っていてもせいぜい4~5㎏くらい。
残りの体重は産後少しずつ減っていきます。
よく『母乳マジック』と言って、「母乳をあげていれば、どれだけ食べていてもどんどん体重が減っていく」という方もいますが、そういう方ばかりではありません。
だからと言ってストイックなダイエットも禁物。産後は妊娠や出産で体が疲れている上に、慣れない育児でしばらくはなかなか疲労が抜けません。そんな中、急激に体重を落とそうとすると体力が落ちるだけでなく、母乳の分泌も悪くなる原因になってしまいます。早く元の体重に戻そうと焦ってしまいがちですが、3ヶ月~半年くらいでゆっくり元の体重に戻していくつもりで大丈夫です。もし授乳していても自然に体重が減らない場合は、まずは間食や夜食を摂っていないか、普段の食事量が増えていないかなど食生活を見直してみましょう。「果物なら大丈夫!」と思っている方もいますが、果物も摂りすぎは禁物です。
体型・体調の戻りをよくするために妊娠中からできることは?
妊娠中の体重増加を抑えることで早く体型を戻すことができます。しかし、過度な体重制限は赤ちゃんの成長に影響するだけではなく、産後の体調不良を招き、母乳分泌などにも影響を及ぼします。
自分の身長と体重からどの程度妊娠中に体重を増やしたらいいのか、医師か助産師に聞いておきましょう。それに応じて運動や食事内容を見直し、目標となる体重に向けて妊娠生活を送れるといいですね。
まとめ
「お産」も「産後の心と体の変化」も十人十色。ここでは一般的なお話しをさせてもらいましたが、個人差は大きく、そこからはずれているからと言って、必ずしも“異常”というわけではありません。また逆に「みんなと一緒だし大丈夫」と無理をしすぎる必要もありません。大切なのは「自分の変化を受け入れること」と「支えてくれる人や助けてくれる人がいること」です。悩んだら一人で抱え込まず、誰かに相談してみましょう。
また、妊娠中の方はついつい「お産」にばかり目を向けてしまいがちですが、産後の生活や心身の変化についても知っておきましょう。知ることで戸惑いは減り、自分の変化を受け入れることができたり、助けを求めたりすることができるようになります。皆さんが安心して、そして楽しく赤ちゃんとの時間を過ごせることが、私たち助産師の願いです。
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