4 Apr 2016
目次
陣痛ってどんな痛み?お腹が張るだけで痛くない人もいるの?特徴は?
みなさんの陣痛のイメージとはどのようなものですか?
「鼻からスイカ」や、「腰がくだける」など怖い言葉ばかり聞くことが多いですね。
出産に関する痛みと聞いて、思いつくのは「陣痛」だと思います。
「陣痛」とは、赤ちゃんを押し出すための子宮収縮に伴う痛みのことを言います。この痛みは、個人差もありますが、一般的に背中や腰、下腹部に軽く痛みが起こることから始まります。それから、下腹部全体に広がり、強い痛みへと変わっていきます。15分間隔くらいから徐々に短くなっていく人もいれば、急に10分以内の陣痛が始まる人もいます。しかし、陣痛が10分間隔になったからと言って、お産が開始したとは言えません。そのまま、陣痛が遠のいていくことがあるからです。これは、一般的に前駆陣痛と言って、分娩には至りません。しかし、全く意味のない陣痛ではなく、その前駆陣痛によって、子宮の入り口はお産の準備に入ります。これも、人によって違い、前駆陣痛がある人もない人もいます。
そして、陣痛の痛みを感じる強さもその人様々なので、なんとも言えませんが、痛みが少ない人の傾向はあるように思います。
・痛みにもともと強い人
これは、生まれ持った性格であったりするので仕方がないのかもしれませんが、無痛のまま気づかないうちにお産が進んでいて、びっくりすることがあります。
・リラックスが上手な人
痛みが強くなってくると、自然と力が入ってしまいます。そんなときに、看護師は「リラックスしって~」「力を抜いて~」と声をかけることが多いのですが、「痛くて無理!!」と怒られることが多いのですが・・・実は、リラックスはとても重要なのです。
恐怖や、痛みで全身に力が入ると、実は子宮口や膣までキュっと締まってしまい、お産が進みにくくなります。また、お母さんの強度の不安は、エピネフリンというホルモンを増加させます。エピネフリンが増加してしまうと、子宮の収縮力を弱くさせてしまうので、だらだらとした陣痛になり、なかなかお産に至らないということがあります。ですので、お産へのマイナスなイメージを取り払い、赤ちゃんが生まれてくる喜びに焦点をあて、できる限り幸福な気持ちを保つことがいいでしょう。
そして、上手にリラックスができていると、子宮の入り口も、膣も柔らかくなるホルモンが出てきますので、ふんわりと柔らかくなり、お産の進みが早くなります。
また、陣痛は色々なホルモンが作用していますが、その中のひとつに鎮静作用を強く持つエンドルフィンというものがあります。産婦が十分にリラックスしていると、このエンドルフィンがでてきます。エンドルフィンがうまく作用することによって、鎮静作用が働き、陣痛に対する知覚が和らぎます(陣痛自体が弱まるのとは違います)。
初産と経産婦の出産では痛みに違いがある?
初産婦でも、経産婦でも陣痛の痛みは同じなようです。何回か出産経験のある人でも、「そうやった!この痛みやった!もう経験したくないと思っていたのに・・」なんて言われる方も多いものです。
しかし、初めてのお産では、全く経験したことがないため、未知の世界であり、不安に感じる人が圧倒的に多いです。また、祖父母にとっても初めての子供であると家族全体が神経質になりがちです。産婦さんだけでなく、家族の方にもリラックスしてもらうほうがいいと思います。家族の方にお願いしたいのが、「まだ?」や「かわいそう」などマイナスな言葉をかけてしまうのは避けてほしいということです。ともに、赤ちゃんを迎え入れるという姿勢で温かく見守ってほしいと願っています。
姿勢や呼吸法で痛みは変わる??
お産の呼吸法には色々あります。有名なのはラマーズ法(ヒーヒーフー)やソフロロジー(フーフー)などです。一般的に、その病院の方針があり、母親教室などで、習っていただくと思います。
呼吸法の利点
・呼吸に集中することで痛みを和らげる
痛みが強いと、その痛みに集中してしまい、身体に力が入ったり呼吸を止めてしまったりしてしまいます。呼吸法、特に息を長く吐くことに注意することで、呼吸に意識がいき、痛みが和らぐことが期待できます。また、耐え難い痛みをコントロールできるか不安になってしまい、パニック状態に陥る方がいますが、呼吸法に意識を向けることで、その不安を和らげることができます。
・過呼吸を予防する
強い痛みや、不安が伴ってくると呼吸が早く、浅くなりがちです。この呼吸を長く続けていると体に酸素が溜まり過ぎて、過呼吸になってしまいます。過呼吸になると、呼吸が苦しくなり、手足がしびれたり、ひどい人は硬直してしまったりします。そんな症状が不安を煽り、悪循環に陥ってしまいます。このため、呼吸は長く吐くことに集中するよう説明します。
・赤ちゃんに沢山の酸素を与える
お母さんの呼吸が浅くなると、赤ちゃんへ十分な酸素が供給されずにしんどい信号(心音が低下する)がでることがあります。そのため、ゆっくりと腹式呼吸をすることを説明します。
このような利点があることから、呼吸法はしっかり練習しておいてもらえればよりよいお産ができると思います。
また、姿勢によっても痛みの感じ方が変わります。これは、その人によって感じ方が違ったり、赤ちゃんの胎位によって違ったりします。お産のときに楽な体勢を見つけることをお勧めします。また、分娩施設によって、どんな体勢で生んでもいい病院や、仰臥位分娩といって、仰向けで足をあげて分娩すると決まっている病院もあります。分娩施設を決めるときに出産法を参考にしてもいいでしょう。
無痛分娩って何?どんな方法なの?
陣痛の痛みがどうしても耐えられない、不安が強い、緊張が強い、と言う人は無痛分娩という方法もあります。しかし、全く痛みがないかというと違うので注意してください。
まず、無痛分娩とは、腰に硬膜外チューブを入れ、麻酔をしながら分娩することをいいます。しかし、初めから麻酔をするのではなく、自然陣痛で子宮の入り口が4.5cmに開いてから麻酔を使っていきます。ですので、初めの方は陣痛の痛みを経験することを頭に入れておいて下さい。
赤ちゃんへの麻酔の影響はほとんどないとされています。しかし、麻酔がかかることにより、力が入りにくくなるため、いきむことが難しくなります。
そのため、シリコン製もしくは金属製のカップを赤ちゃんの頭に当てて、吸引する「吸引分娩」や金属製のヘラを組み合わせたはさみのような器具で赤ちゃんの頭を挟み、外に出す「鉗子分娩」が適用される可能性が高くなります。
痛くない出産のために妊婦さんが今からできること
・身体を温める
身体が冷えると、生理痛がきつくなったという経験をした方もいらっしゃると思いますが、やはり妊娠中も冷えは大敵です。しかし、妊娠初期は、体温が高くなり、すごく暑く感じ、のぼせてしまう方もいます。ですので、温めるのは下腹部を重点的にしましょう。
・イメージトレーニング
陣痛が始まってから急にリラックスしなさいと言われても、そうできるものではありません。ですので、妊娠中から穏やかに過ごすことを心掛けながら、イメージトレーニングをしましょう。また、リラックスできる音楽や、香など、自分の好みを知っておくのもよいでしょう(アロマテラピーは妊娠中に禁忌のものもあるので注意しましょう)
・家族とのコミュニケーション
意外とこれが大事かな?と思います。特に初産婦のプレママさんは、未知の世界な分、応援団がいると心強いものです。出産予定日までにご主人さんや、お母さんなどにお産について色々話し、一緒に乗り越えていけるようサポートを頼みましょう。
・赤ちゃんとのコミュニケーション
胎話というのをご存知ですか?
お腹の赤ちゃんと会話ができるのです。はっきり、言葉として会話ができるわけではないのですが、胎話を続けていくことで、直感で赤ちゃんが言っていることがわかるようになったという先輩ママもいます。あまり、イメージがつかない人もいるかもしれませんが、まず、お腹の赤ちゃんにも意志があることを認識しましょう。キックゲームや話しかけを、頻繁に行っていると胎児とのコミュニケーションがより取りやすくなります。
陣痛の痛みを軽減するツボがあるって本当?効果はあるの?
陣痛に関係するツボは、三陰交が有名です。うちくるぶしから、手の指4本分上がったところにあります。このツボは、痛みを和らげるというよりは、より効果的な陣痛がくるように刺激することが多いです。また、赤ちゃんが逆子(骨盤位)になったときも、三陰交にお灸するといいと聞いたことがあります。しかし、三陰交は、子宮収縮を促す作用もあるので、妊娠中のお灸は注意が必要です。
自宅で陣痛に耐えるときは、足浴をして下肢を温めると、子宮に戻る血液が温かくなり、陣痛の痛みが和らぎます。また、足浴することで、三陰交を刺激しますのでより効果的な陣痛がくることが期待できます
また、分娩が進行してくると、尾てい骨や、肛門に痛みを感じます。陣痛が来たときに尾てい骨を力強く押すと、痛みが軽減することも多いのです。力強く圧迫することがいいので、テニスボールや、ゴルフボールを使ってご主人さんや、家族に押してもらうことが多いのです。
(画像引用元:http://www.stove-villa.com/site/hietori3.html)
まとめ
子育ては、妊娠した時点で始まっています。妊娠中に、新しい命を宿していることに感動を覚える反面、忙しい毎日に胎児との関係を切り離して生活しているママたちも多く見ます。
今一度、胎児との関わりを大切にし、会話してほしいものです。出産時も、どうしても陣痛の痛みに気持ちがいってしまいがちですが、赤ちゃんは陣痛のたびに身体が締め付けられ、しんどい思いをしています。赤ちゃんとともに、分娩を頑張っているということを念頭に置いておいてあげてください。より、温かな環境で、赤ちゃんの誕生を迎えてあげられるよう医療者、家族、お母さん、赤ちゃんが力を合わせたお産になることをお祈りしています。
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